朝日新聞『獅子頭』第三十五話 歴史や文化を無視した心理療法は殺人である

二順は
教科書に弱く
実技に強いタイプの
料理人のようです。
火の調整や
中華鍋の扱いなんかが
うまくできたら
それで充分だと
思っているようですが
雲紗の父は
料理は
その土地の
歴史や地理に
大いに関係しているから
それを
知ろうともしなかったら
店をやってこられなかったと

注意します。
心理療法も
同じです。
現実に
目の前にいる人を
相手にするのですが
その人の
歴史を無視して
しんどそうだったら
うつ病とか
勉強できなかったら
発達障害とか
そういう見方だけで
励ましたり
医者を紹介したり
するだけだから
そのうつ病を
いつまでたっても治せないし
発達障害を増やしすぎて
薬づけにしたり
絶望させたりしているうちに
死なせてしまうように
なるのです。
なぜしんどくなったのか
なぜ勉強できないのか
その人のこれまでの
歴史と現状を照合しながら
一緒に考えるのが
本当の心理療法です。
また西洋にはキリスト教文化
日本には仏教や陰陽五行説が
あるのですから
癒される物語も
違うわけです。
人魚姫では
絶望が深まってしまうから
『崖の上のポニョ』を
どうしてもみんなに見て欲しくて
宮崎監督は
苦労に苦労を重ねて
泣きながら制作されたのですよ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です