朝日新聞『獅子頭』第四話 『崖の上のポニョ』っぽい?!

時が経ち、
三話で赤ん坊だった【二順】
の父親は

退役軍人の兄のおかげで
貧しい農村を出て
都市の雑技学校の
食堂の調理師になった。

家を出る前
農民の父親に
母親が調理の特訓をしようとする。

ダメだダメだと
厳しいことを言う母親に
父親は
野菜を油で炒めて
塩と胡椒を加えるという
基本はどこでも同じだし
職場では
油がふんだんに使えるし
味の素もあるだろうから

大丈夫だと返す。

この家では
ろうそくの明かりのもと
きゅうりの味噌漬けと粟のご飯だけの
食事が普通だ。

第一話で【文革】に触れていたが、
【文明】というモチーフが
底に流れているような気がする。

中華料理と言えば
【火食】のイメージだが、

二順の家のように
火を使う以前の文化水準があり

易学の
【先天易】と【後天易】の間に
【火食】
がある。

火を使うか否かで
哲学ががらりと変わってしまう
ということを
昔の中国人は知っていたのだ。

この哲学は
もちろん
【陰陽五行説】
お釈迦さまの掌のように
あらゆるものを乗せることができる。
つまり、説明することができる。

中国文化も政治も食事も
医療も占いも
すべての基本に
【陰陽五行説】がある。

さらに
【味の素】
これは世界を席巻している。
外国に行けば、
その国の味を楽しみたいと思うが
ベトナムでもタイでも
味の素のびんや広告を見かける。
「これがないと」
と言われるとちょっとショック…

みんな同じ味になってしまう。

英語で説明すると
なんだか内容が軽くなってしまうものだが
味の素で日本もそういう文化破壊の
片棒を担いでいる。

原始的な生活から文明化へ
そしてグローバルスタンダードへの習合

易もいつかまた
後天易から進化させなくてはならないのかもしれない。

二順が兄に
父の行った【雑技学校】の【雑技】って
何?と聞くと、

サルみたいに木の枝を歩くことかなあ
と答えた。

木の枝といえば
【如人千尺懸崖上樹】

危機に見舞われて克服していくわけだから

『獅子頭』も
『崖の上のポニョ』かな…

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