ハロペリドールという薬があります。
抗精神病薬の1つらしいです。
院生の頃、ジル・ドゥラ・トゥレットという重症のチックに見舞われた男の子の症例を読んでいた時、
このお薬の名前を覚えました。
舞踏病のように手足が勝手に動き、汚言症も併発していて
なんか中世の魔女みたいだなと思いました。
(今なら、これは確かにかつて魔女→ヒステリーと呼ばれ、現在PTSDに変名したものだなと思います)
統合失調症のような重篤な病に使用するようなこの薬が
なぜか幼いこの男児によく効いたと書いてありました。
当時はああそうなんだとしか思いませんでしたが、
最近頭の中が真っ白になるような衝撃を受けました。
仲良くなった中国人の公衆衛生の女医さんが言いました。
ハロペリドールを長期間服用した人の20人に一人は
回復不能な遅発性ジスキネジアになるというデータがある。
それは口が勝手に動く神経障害なので、外国では禁止薬物だと言うのです。
日本みたいな豊かな国で(だから自分は日本に留学して帰化したのに)
『うっそでしょう?!』
というのが本心だが、日本での常識のあり方をだんだん学ぶうちに
思ったことをそのまま口にしてはいけないということを知り
フクザツだと言う。
彼女は母親でもあるから
日本で若い人たちに増えるリストカットという現象や
自殺の多さにこころを痛めていた。
昨年は中国をよくバッシングしてたけど
(彼女は自分にはまったく関係がないのに気にしてた)
確かにそれだけの事実はあったけど
日本はもっと凄いと
私は恐ろしくなった。