月別アーカイブ: 2010年4月

『心的外傷と回復』② つながりを取り戻すこと

本書は
つながりを取り戻す
ことに関する本である。

つまりは…

的世界と的世界

具体的には

アウシュビツから
戦地から
凶悪事件から
DV家庭から
虐待を基礎とする親子関係から

物理的にはなんとか
離脱することに成功したものの
孤独なサバイバーが

もう一度
社会とつながりなおす
ための指南書でもある。

度を越した
恐怖や不安が
トラウマとなること ①

そしてそこからPTSDに
罹患する可能性があること ②

罹患者の抱える孤立 ③

さらには
孤立を回復すべきであること ④

これらを的確に
示したスマートな知性には

類稀なものがある。

アメリカ社会では
この本は完璧だろう。

しかし
いざ【つながり】という問題に
焦点が当たると

自分と世界の問題であるから

たちまち【存在論】の問題に
変貌して
立ち上がってくる。

個人には自由があるが
この問題に関しては

所属する文化の影響を全く無視
というわけにはいかない。
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『心的外傷と回復』① 貴重な本だがPTSDバイブルではない

トラウマ問題の諸相と
治療への道を
具体的に描いた
本書は〈バイブル〉と
呼ばれています。

PTSD研究家翠雨の日記

トラウマを取り巻く
現状を考えるとき

医療や福祉が
相当なレベルで不完全である以上

罹患者は
自力で克服するしか
ありません。

C.G,ユングは
知的な資質が高いクライエントには
学習も勧めたようですが

平成のPTSD罹患者は
全員が学習者でなければ
ならなくなりました。

しかし
フロイトの精神分析の
【防衛機制】だけでも
読みこなすのは大変な作業であるうえに

PTSDに罹ると
以前は読めたものも
読みにくくなるのが
普通です。

―もし安定して読み進むことができ
本当に理解している人がいたら
それこそPTSD誤診を
疑います―

1つにはそういう意味で

2つめには
フロイトにはまだなかった発想
でありながら

今の時代には必須であること
が書かれ

3つめとして
現代人のこころに響く
表現や言い回しで
カジュアルに書かれている

こういう本は他にないので

この本はPTSD入門書として
貴重だと考えています。

しかしバイブルにしては
いけないと思います。
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JR宝塚線脱線事故からPTSDと診断され自死の男性の母親にもPTSDの診断

昨日の朝日新聞夕刊に
5年前事故で
首の捻挫をし
その二ヵ月後に
壁にアリがはっているのを見て
パニックに陥り

事故による
PTSDと診断され
3年後に自死した男性のことが
紹介されていました。
生きていたら27歳だそうです。
ブログもつづっていたようですが
事故で生き残ったことに対する
自責の念
大学卒業後
社会とのつながりを失ったことで
追い詰められたのではないかと
述べる母もまた
「時間がたってから
PTSDが発症するとは
知らなかった」

と苦悶し、PTSDで
受診中です。
心の傷の連鎖を防ぐために
情報がもっともっと必要だ
と締めくくられています。
なぜアリをみて
パニックになったのか
なぜ自分を責めるのか
なぜつながりを失い
自死につながったのか
すべては哲学的存在論です。
ユングは
これを支えるのが
心理療法の究極の目的であると
述べています。

桃太郎のお供にアンパンマン?!でも集合的無意識の【元型】は普遍

桃太郎や浦島太郎といった
有名な童話や昔話を
子供たちが知らない傾向にあることが
筑波大学大学院の
徳田克己教授(子供支援学)らのグループによる
20年間にわたる調査で
分かったそうです。
人気アニメキャラクターが
昔話に登場すると考える子供もいます。
なかなか面白いですよ。
桃太郎が鬼退治のときに
腰につけた物について
2年前の調査では
3歳児の76%
5、6歳児の91%が
「きびだんご」と正解してました。
しかし
今回は
それぞれ22%、51%と低下。
誤答には
パン、ケーキ、シチューといった
洋食も挙がります。
 
桃太郎と一緒に鬼退治に行った
「犬、猿、雉(きじ)」の理解は
この20年間で
3歳児は49%から22%
5、6歳児で89%から50%に
それぞれ下がりました。
おばあさんやキツツキなどのほか
なんとアニメキャラクターの「アンパンマン」との
“珍答”もあったそうです。
「浦島太郎は
誰の背中に乗って行ったか」
については
3歳児で理解していたのは
62%から30%へ低下。
犬、猿、桃太郎などの誤答のほか
ここでもアンパンマン
登場します。
PTSD研究家翠雨の日記
保育所などでの
創作劇の影響らしいです。
(創作・進化が日本文化の魅力だから
 これでよいのです)
竹取物語にアンパンマン
結構普通に
飛び出しますから…
そういえば主役だらけの
お遊戯会世代の子どもたちは
♪『世界に1つだけの花』とか
好むんでしょうね。
お話が少々変わっても
思考の雛形は同じですから
無意識の分析に影響を与えるのは
ずっと先でしょうが
この子たちは
どんな
おじいさんおばあさんになっているのか
想像するとワクワクしますニコニコ

キム元死刑囚招聘来月中は困難


キム元死刑囚の人生は
トラウマとの闘い一色でしょうね。
なんとか持ちこたえようとされる
緊張感がひしひしと
伝わってきます。
国際問題の只中に置かれると
立ち居振る舞いすらが
すべて危機に直結するのでしょうから
大変です。
事件までの人生も
緊迫したものだったでしょうが。
誰が悪いのかとか
そういうことを超えた次元で
無私に存在させられることを
受け入れた人の矜持を
感じ
無条件に反省させられること
多々…
デス

両親殺害後自殺する息子の事件微増傾向 相模原でも

28日未明
神奈川県相模原市で
68歳の夫婦が死亡しているのを
夫婦の娘が通報しました。
夫は室内で
妻は庭で倒れていて
2人に刃物で刺された傷があります。
その後
夫婦の長男(39)とみられる男性が
町田市のアパートで
死亡しているのが見つかり
警察は
長男が
夫婦を殺害後に
自殺したとみて調べています。
頻発してますね。
パターン化されています。
そして強い攻撃性が
みられます。
まるで神話の世界みたいです。
常識では
解けない謎です。

母親の死を契機に笑わなくなったPTSD児童への絵画療法 

庭先ですれ違っても
無愛想

名前を聞いても
返事もしないし

おかしなことを言っても
笑わない。

打つ手がないように
思いましたが

笑わなくなったのは
母親と出かけたあと
一緒に大病をし
母親だけが亡くなってから

という情報を得て

母が亡くなる前
一緒に楽しんだ
舞踊団の絵を描きました。

笑わない子は
絵を観ます。

母と一緒の
あの楽しかった舞踊が
活き活きと
リアルに思い出され
笑顔があふれました。

あのときに
タイムスリップしたのです。
 ―精神分析では【固着と退行】
  仏教では【温故知新】
  陰陽五行では【太極】
  リセットの法則が効いてます!―

そして
長い間聞こえなかった
音が聞こえました」

と言いました。

主人公は
大病をすると
聞く機能を失うことがあると

聞いたことがあると言います。

 ―もちろんPTSDのことですね。
  外科手術して聞こえたのでは
  ないですから―

この子は
自分だけ聞こえない世界にいて

笑えなかったのです

絵を観て
自分だけに聞こえる
音を聴いた
のです。

GYAOで本日から一週間やってますよ!
韓国ドラマ『風の絵師』第十五話です。
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『心的外傷と回復』⑥ ああ、アメリカンなマンダラ理解!

『心の中の曼陀羅◆不眠症に悩むヒトへ』
 
ストレスや、悩み、神経症などで悩む
クライアント対象に
ユング派の心理療法士さん達は
マンダラを描く療法を指導している。
ストレス先進国
アメリカなどでは
『マンダラ療法』の関連図書も
多く出版されており
日本でも『マンダラ塗り絵』として
出版されている。

PTSD研究家翠雨の日記
ホントですか叫び
最近
『赤の書』が出版された
PTSD克服者のさきがけ
ユングも
アメリカにかかれば
台無しですね。
よい子の皆さんは
これをまともに
受けませんように…
マンダラは
十牛図の8つ目のようなもので
トラウマや自分の影と
死闘を繰り広げて
最後に
その人の内から
浮かび上がってくるVISION

です。
死闘を経過した人の絵には
共通点があるという話であって
マンダラと呼ばれる
統計的に多い図を
描いても
本当の効果は期待できません。
イライラしてる人が
墨を摺って
書をしたためているうちに
落ち着いた
というレベルの効果です。
(よけいイライラした
という人も当然あるでしょう)
あるいは
成功した人には貫禄があると聞いて
貫禄を真似るようなものです。
これも無意味とは言えないですが
ちょっとパロディになってますね。
ハーマンの書いた内容も
PTSD克服が相当進んだ段階では
すっと読めるのではないでしょうか。
初期の段階で
ハーマンの理論を演説する人には
マンダラ色塗り崇拝者が
多いような気がします。
ある意味で
本当の理解を【回避】【否認】
しているのです。
全体的にみれば【知性化】
ともいいます。

『心的外傷と回復』⑤ 日本人の場合は回復ではない

ハーマンは漢字がわからないと
思いますが…
(まあ
日本人じゃないから
どちらでもいいです)
広辞苑では
回復
一度失ったものをとりもどすこと。
もとのとおりになること。
「健康が-する」
快復
病気のなおること。
「じんましんが出て
点滴を受けて
カイフクまでに3日間を要した」は
じんましんという
邪魔なものが
消えて
元通りになった
(厳密には
3日分の加齢と
食べたものや心境など
内外の環境の微妙な変化で
違う肌ですが…)
という意味で
【回復】
でしょうか。
病気のうちに入っていない
と軽く考えるという意味では
悪くないですが
ちょっと【機械】扱いですね。
でもまあ
じんましんくらいなら
こういう扱いもアリでしょう。
PTSDはどうですか?
たとえばDVの場合
頭ごなしに言われるのは
離婚です。
DVシェルターに入所したら
関係修復の選択肢は摘まれます。
そこを強引に突破した場合は
(私はこれに相当加担しました)
どうでしょうか?
このあと関係修復する場合もあるし
納得の上離婚する場合も
あります。
しかしどちらにしても
【回復】ではありませんね。
さらに言えば
初心者の頃の私が
「エー!!ちょっと待ってぇー」
と思うほど
まっしぐらに変容してゆかれます。
後に
『古事記』や道元や『十牛図』を読んで
『ああ、そういうものなんだ…』
と納得しましたが
凄いパワーが生まれるみたいです。
古い表記は
【恢復】だそうです。
これに至っては
道元の
【古木の龍吟】
を思いました。
木と言っても
人間のことです。
枯れなくては
魂の声が聞こえてこないのです。
難しいですか?
そういう人のために
『花咲かじいさん』
あるじゃないですか!
白い犬
(純粋なこころ)を殺されて
犬は戻りませんが
花を咲かせて
人々を感動させることは
できるのです。
象徴的に
灰になれば
恢復するのです。

やはり
アメリカ的精神分析的カウンセリングの
限界
があります。

『心的外傷と回復』④ 永遠の弁証法でハーマンの頭の上を越えよ!

序文に書かれていますよ。
あらゆる心的外傷(トラウマ)の諸相と
その治療への方向性を
具体的・情熱的に示した本書は
初版刊行以来
世界中の読者から
感動をもって迎えられ
現在では
トラウマ問題の「バイブル」の
地位をゆるぎないものにしている。
しかし
被害者をはじめ
この問題に対する取り組みは
まだ始まったばかりであり
事態は流動的である。

人間はそもそも
二元論ではできていない。
しかし
現代キリスト教のおかげで
(そもそものキリスト教は二元論ではないだろう)
西洋は二元論でも
多くの人が納得してくれる。
しかし
PTSDを問題にした
ハーマンは
牧師の息子ユング同様
その常識を超えています。
日本の読者の多くは
どうも
ここを読み飛ばしている。
―都合のいいことに飛びつくのは
世の習いです。
私も人のことはとても
言えません…
東洋の自己実現には
ハッピーエンドはないのです。
個性化の過程
であり【道】なのです。
これは
陰陽五行説の
【一太極二陰陽】の
リセットの法則でもあります。
西洋の弁証法ではありません。
永遠の弁証法です。
ここを間違っては
大事になるので
宮崎監督は
『人魚姫』ではなく
『崖の上のポニョ』を
泣きながら描く必要があったのです。
ハーマンは偉大ですが
ハーマン信仰はほどほどにしましょう。
東洋思想では
【仏向上】
と言います。
ビルシャナ仏の頭の上すら越えていくのが
東洋人です。
ハーマンの頭くらい
軽々超えましょうよ!