カミュ『異邦人』とPTSDの悲劇

『異邦人』
(仏: L’Étranger)は
アルベール・カミュの小説です。
1942年に
人間社会に存在する不条理について
書かれたものですが
カミュが46歳の若さで
ノーベル文学賞を受賞したのは
この作品によるところが大きいと
言われています。
主人公は
母の死に涙を流さず
特に感情を示さず
普段とかわりない生活を続けていたのですが
ある晩
友人のトラブルに巻き込まれ

人を射殺してしまいます。
裁判では
人間味のかけらもない冷酷な人間であると
証言され
裁判の最後で殺人の動機を問われ
太陽が眩しかったから」と答え
死刑宣告にも関心を示さず
上訴もしなかったため
死刑が確定します。
留置場に司祭が訪れ
悔い改めるように諭しても
彼は司祭を追い出し
死刑の瞬間に人々から罵声を
浴びせられることを
人生最後の希望にします。
母親の死による
ショックで
【解離】を起こしています。
【解離】を起こすと
判断力・現実検討能力が
低下しますから
失敗や
自暴自棄な行動が
知性とは無関係に増えます。
犯罪に巻き込まれる確率は
格段にアップするでしょう。
PTSDですから
なぜ?と聞かれても
わからないし
説得されても
行動修正ができません。
何者かに操られているかのようです。
『無知の涙』の
永山則夫と同じでしょう。
主人公は【太陽】のせいだ
と言いました。
なくてはならないものですが
近づきすぎると
焦がされてしまいます。
【象徴的】表現です。
善いとか悪いとか
好きとか嫌いとか
陰陽の二元論を絶した
そういうところに
動かされる人間の悲劇を
示しています。
PTSDでそれが
顕著になります。
     八卦     ←森羅万象
  ↑  ↑  ↑  ↑
   …
    陰 陽
    ↑  ↑
     太極     ←エクリチュール・ゼロ
バルトが影響され
“エクリチュールの零度”という
観念
を抱いたのは
うなづけます。
PTSDはここから
理解しなければ
始まらないと思います。

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