催眠状態は
一見
困った症状のようですが…
その時に
さまざまな症状について、
それがいつから
どんな風にして発生したのかを
根気よく話し合うようにするなかで
すべての症状について
その原因となる心理的外傷
(ひどくショックな出来事)があり
しかもそれは全て
彼女が父の看病をした時期の出来事
であるとわかった。
ふだんは
彼女はこの出来事についてまったく忘れているのだが
催眠状態にあるときは
このことに
ついて語ることができた。
話している最中に症状は
もっともひどくあらわれ
そして催眠からさめたときにはすっかり
症状は消えてしまうのであった。
例えば
彼女はわけもなく
突然水を飲むことができなくなり
どんなに喉が乾いても
水が飲めないという状態が
6週間も続いたことがあった。
この原因については
次のように語っている。
ある夏の暑い日
嫌いだったイギリス婦人のお手伝いさんが
飼っていた子犬に
コップから水を飲ませているのを目撃し
「なんて汚い」との
嫌悪感や怒りなどのコンプレックスを
感じ
怒鳴りつけそうになったのだが
はしたないからと我慢したことを
思い出し
そのとき抑圧した
感情を吐き出すと
急に水が飲みたくなり
おいしそうにコップの水を飲んで
催眠からさめた。
このような調子で
彼女のすべての症状は取り除かれ
彼女の病状は
徐々に軽快していった。
しかし
完全に健康になるには
なおしばらくの年月を要した。