朝日新聞『獅子頭』第百四十九話 PTSDのあり地獄

二順は
やはり
嵌められたようだ。

妊娠の責任を取らされる形での
(中国の妻とは不本意な離婚)
結婚だったが

随分早く生まれた
赤ん坊は
丸々と太って元気

とても未熟児には
見えない。

しかも新しい店は
流行らない。

妻の母の
くどくど続く
意味不明の話を
聞かされる。

PTSDになると
好ましくない対人関係に
丸め込まれることが
多い。
 ―そこでエネルギーを
  ますます消耗してしまう。

それは
じわじわ接近し
いつしか不可避だと
思わされる。
仕方がないと思っているうちに
どん底にいる自分に気づく。

妻とその母の住む
あり地獄に
落ちたみたいなものである。

しかし読者は
ここからの抜け方を
学ぶことができるのだろう。

この作者PTSDの機微が
よくわかっているから
楽しみドキドキ

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