『チャングム』第四十話 集団ヒステリーとパニック思考 

チャングムは
いじめで封鎖された村にいたのですが

見捨てられた怒りで
一杯一杯になった
村人たちの目には

逃げ出した医官と
チャングムは同じに見えます。  

それで
殺そうとします。  
 ―殺してどうなるかなんて
  考えません。

「このまま争って
死にますか?」と諭され

少し冷静になって
病を治してもらったほうが
得策だとわかっても

少ない医薬品を
取り合い
盗み
調達できないなら
殺すとさえ言います。

冷静に観察すれば
村の病人は何割かであって
全員ではないのですが

「国が滅びる」とわめきます。
 ―目の前の世界が
  全宇宙です。
  主観が100%です。

「元気な人を集めて
コケをとってください」とか
「食器を熱湯消毒してください」と言っても
きょとん…

自分たちのできることを
しようという発想はゼロです。

パニックになった
人間の思考回路が
よく表現されています。

逆境にあるときこそ
冷静にならねば
命がありませんね。

如人千尺懸崖上樹とは
よく言ったものです。

逆境での
絶望と甘えを同時に廃止させるため
宮崎駿は
『崖の上のポニョ』を
描きました。

幼いチャングムも
ポニョも
それを超越したのです。

大人にできないはずは
ありません。

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