ジブリ『崖の上のポニョ』」カテゴリーアーカイブ

ポニョの境涯

ポニョは【如人千尺懸崖上樹】のもじりであると書きました。
子どもに名前をつけるときは、何らかの願いや思いを込めますね。
幸せになってほしいとか優しい人になって欲しいとか。
ポニョに与えられた使命は…
千尺は300メートルですね。
想像してみてください。
高い高い崖があるとします。
そこから樹が横に生えています。
あなたはその樹の枝にかじりついています。
手足はどこもつかんでいません。
そういう状況にあるときに、
下から(学生さんに「先生、聞こえるんですか?」と聞かれましたが…)
誰かが質問をします。
あなたはどうしますか?という問題です。
質問(これまた難解)の答えを考えるのも大事ですが、
どう答えるかが大問題ですね。
下手に答えると墜落してしまいますからね。
なんとなんと若干5歳(?)のポニョは見事解いて
人間の女の子に生まれ変ったんです。

『崖の上のポニョ』はどうしてポニョなのか知ってる?

なんと出典は
道元さまの正法眼蔵『祖師西来意』
世界的に有名な哲学書ですね。
【如人千尺懸崖上樹】という言葉があります。
 ↑      ↑
ポ如    崖の上の
【百尺竿頭】という公案に関するものです。
公案なんてお坊さんの専売特許だと思ってるでしょう?
クライエントの悩む問題は前人未到の存在論なんです。
難しいけれど、解けなければ生きてゆけない。
医学書をいくら読んでもダメ、人に答えを聞いてもダメ
全身全霊で考えなくてはならないんですね。
絶望を深めている日本人に
魚の子のポニョでも解けたよ!と
宮崎監督はエールを送ってくれているんです。
大切なのは
①必ず解けること
②宗助(主人公)のようにヒロインに寄り添うこと
実際に多いのは
①「解くな」「無意味だ」「忘れろ」との否認
②専門家ぶって指導教育する
♪ポー如 ポ如ポ如 魚の子 崖の上にやってきたあ
って歌った子どもたちは
大変な境涯に出会っても
ふと何かに気づき守られるでしょう。