ジブリ『思い出のマーニー』」カテゴリーアーカイブ

PTSD性喘息のアンナに「あなた喪にふくしたの?」とマーニー

原作では
アンナに対し
 ―ジブリ版は杏奈
マーニーが
「ご両親はどうなさったの?」と
質問をします。
心療内科に
欠けている大事なところです。
杏奈は
父がどこかへ行ってしまい
母親は再婚
 ― 一本調子のそっけない声でそういう。
祖母と暮らしていたら
両親が自動車事故で死亡したと
答えます。
そこで
マーニーが
「なんてひどいんでしょう!
あなた喪にふくしたの?
随分辛かったでしょう?」と
言うのですが
「ちっとも覚えてもいないわ」
「それからおばあちゃんが死んだわ」
マーニーは驚いて
いろいろ聞きますが
杏奈は
「だれがそんなこと気にするもんですか。
かまやしない!」
 ―怒りが出たのはよいことです。
  とても気にしていることを示しています。


時間をかけて
人の心を育んで
感情を取り戻し
 ―かぐや姫の時代から続く
  (文献があるのがそこから)
  普遍的な原理
喘息も治癒してゆきます。
大事なのは
薬ではなく
傾聴です。
 ―いわゆる優しさとかとはちょっと違います。

『思い出のマーニー』と『砂の城』PTSD負の連鎖

一条ゆかりの
代表作の
モチーフもみられます。

この作品は
外国の話ですが
 ―結婚に反対され心中
 
 男性は記憶喪失のまま結婚
 
 女性も助かり
 男性と再会できたが
 男性も妻も事故死したので
 その子どもを育てる決心をする。
日本を舞台にドラマ化されました。

サイロは出てきませんが
こういう
トラウマチックな
衝撃的なシーンが満載で

意地悪ばあさんも出てきます。

砂の城というのは
PTSD世代間負の連鎖の
象徴なのかも
しれません。

『思い出のマーニー』PTSDのトラウマをつくる意地悪ばあさん

イギリスの児童文学ですが
ジブリは日本風に
意味を翻訳してますから
 ―拡充法と言う。

意地悪婆さんが
出てきます。
おばあさんになっても
いじめっ子です。

アリエッティの
お手伝いさん
ハルさんのように
 ―小人を見たと言ったら
 嘘つき呼ばわりされたトラウマ
何かトラウマがあるのでしょう。

こういう
心のお手伝いさんたちも。
トラウマがあっても
赦されないことですがね。

『思い出のマーニー』ジブリの描くPTSD性心身症モチーフ


杏奈は喘息ですが
幻想に憑かれ
 ―傍目から見れば
 結構アブナイ
 (本当は危なくない)
 今の日本だと
 ほっといてもらえないかも
よく走っては
倒れてました。
 ―百尺竿頭一歩進めよ。

『借りぐらしのアリエッティ』の
翔君も
心臓の手術を受ける前だというのに

走れました。
 ―ヒステリー
 母親不在の寂しさを否認した
 PTSDとしての
 心身症
2人は
よく似てますね。
PTSDの原理がよく理解されるように
わざとそうしているのではと
 ―そうでなければ手抜きかな。
 そんなわけはないわけで
思われる節が
他にもたくさんあります。

『思い出のマーニー』PTSDのトラウマになった崖の上のサイロ


恐ろしい感じですが
ジブリ発行のガイドブックに
「マーニーのトラウマになった」と
書いてありました。
そして
崖の上にあって
 ―崖の上のポニョ
 (如人千尺懸崖上樹)
子どもたちが
肝試しをしているという
設定です。
 ―パワースポット

動物の飼料を入れるところで
かたちからも
【感官】をイメージできます。
怖い記憶だから
信頼できる杏奈と2人で
入って行きました。
2人の秘密だというのも大事なところです。
 ―誰にでも逐一報告してたら
 治らない。

ユング心理療法で『思い出のマーニー』に接近し治癒するPTSD

PTSD性の喘息ですが
 ―治療してみればわかる。
★夢を見たり
★箱庭をしたり
 ―英語では「砂遊び」
 sandplay therapy

★絵を描いたりしながら

マーニーに近づきました。
治療が完了すると
マーニーは消えます。
 ―記憶と折り合いをつける。



『かぐや姫の物語』にも出てきた
固着と退行の原理です。
 ―トラウマのエネルギーは
 理解されると消える。
夢分析にするか
箱庭療法にするか
普通は選びます。
ユングは
夢と描画で
個性化しました。


母親の死のPTSD予防には
家を建てました。
 ―資格を取って

湿っ地屋敷にそっくりですね。
自律的な無意識を
 ―エゴや他者攻撃ではなく
解放してあげ
かたちにすることが
大事です。

『思い出のマーニー』も『明日ママ』PTSD解離負の連鎖


善良市民の養い親ですが
自信がなく
いつもこんな表情で
気の毒です。
施設から預かった
親を知らない子は
みんなトラウマを抱えているので
PTSD予防中です。
杏奈の場合は
喘息として
既に発症していました。
 ―無意識で自分を殺そうとしている。
おばあちゃんの親が
『明日ママ』で
 ―子どもを置き去りに
根が深いから

本当は
魔王のような
専門家が必要なんですよね。
『明日ママ』は
普遍的な問題です。

泥酔運転のPTSD解離看護師(46)逮捕

山形市で
酒に酔った状態で乗用車を運転
40代男性が運転するライトバンに追突
首を捻挫するけがをさせました。
逮捕された時
真っすぐ立てなかったそうです。
夢遊病に近い
解離行動ですね。

大自然と
人に
緩く護られた状態で
幻想を生きることが
治療的になります。
現実に行うと
アクティングアウトで
犯罪になります。
 ―『かぐや姫の物語』でも
 そこが1つのテーマになっていました。

加藤智大のPTSD論にない『思い出のマーニー』的心身症

解離行動というのは
人間の普遍的な心理で
「社会との接点を失った
孤立状態」で起こる
「自殺という手段を用いてでも
 逃れたい極限の苦痛」だが
 ―杏奈にも
 軽く
 自傷行為以前の段階の
 解離行動がありましたね。
無理やりキャラ設定することで
 ―オタク
 ぶりっ子
 ストーカー
極度になれば
犯罪になる方向性もあると
考えているようですが
 ―自傷と他害は
 コインの裏表

杏奈のように
心身症化することもありますね。
土足でこころの中に踏み込んでくる
無遠慮な
田舎の女の子に
 ―悪いのは相性
思わず
 ―解離
「太っちょ豚!」と
言ってしまい
窮地に立たされますが
おおらかなおじさんとおばさんに
やさしく傾聴され
 ―よいとか悪いとかではなく
  鏡のように映し返される。
自己治癒が進んでゆきました。
加藤被告にも
親以外に
 ―杏奈の養母は
 善良だが
 不安が高く
 余裕がない。
そういう環境があればよかったのでしょう。