精神分析」カテゴリーアーカイブ

アンナの症例⑤ コップから水が飲めない

催眠状態は
一見
困った症状のようですが…

その時に
さまざまな症状について、
それがいつから
どんな風にして発生したのかを
根気よく話し合うようにするなかで

すべての症状について
その原因となる心理的外傷
(ひどくショックな出来事)があり
しかもそれは全て
彼女が父の看病をした時期の出来事
であるとわかった。

ふだんは
彼女はこの出来事についてまったく忘れているのだが
催眠状態にあるときは
このことに
ついて語ることができた。

話している最中に症状は
もっともひどくあらわれ

そして催眠からさめたときにはすっかり
症状は消えてしまうのであった。

例えば
彼女はわけもなく
突然水を飲むことができなくなり
どんなに喉が乾いても
水が飲めないという状態が
6週間も続いたことがあった。

この原因については
次のように語っている。

ある夏の暑い日
嫌いだったイギリス婦人のお手伝いさんが
飼っていた子犬に
コップから水を飲ませているのを目撃し

「なんて汚い」との
嫌悪感や怒りなどのコンプレックスを
感じ

怒鳴りつけそうになったのだが
はしたないからと我慢したことを
思い出し

そのとき抑圧した
感情を吐き出すと

急に水が飲みたくなり
おいしそうにコップの水を飲んで
催眠からさめた。

 
このような調子で
彼女のすべての症状は取り除かれ

彼女の病状は
徐々に軽快していった。

しかし
完全に健康になるには
なおしばらくの年月を要した。
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アンナの症例④再発

しかし

父が亡くなった時
ものすごい興奮状態になり
深い昏迷状態が2日間続き

その後
再びいろいろな奇妙な症状があらわれる。

周囲の人がすべて蝋人形のように
見えて区別がつかなくなったり

母国語のドイツ語が理解できず
英語を話すようになったりした。

日中は、お化けや骸骨
死人の首などのきみの悪い幻覚に悩まされ
午後からはうとうとと眠り
日没の頃には
催眠状態になった。

幻覚
離人感覚
…も付加されました。

(しかし
これらは後にすべて消えたのです。
大丈夫です。)
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アンナの症例③ラポールの形成

治療者は
これらの障害には
精神的な原因があると考えた。

なにかにひどく苦しめられているが
それについて何も言うまいと
決心しているのではないか
話してほしいと

率直に促すと

このときから彼女の症状は
徐々に改善し
そのうち病床を離れることができた。

ラポールの形成
と言います。

心理療法の基本中の基本です。

こころが自由に交流している
状態です。

箱庭療法のカルフさんなら
【自由にして保護された空間】と
言うでしょう。

そっちがわかりやすいかな?

自分の感じたことを話しても
大丈夫だという安心感がある
状態で

「黙ってしたがってください。
転院は自由ですよ!」
なんて叱られるおそれのない
関係です。
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アンナの症例②治療開始後の瞑眩反応としてのヒステリー症状

治療開始後

症状はますます悪くなり
そのうち
視点が定まらなくなり
ついには
寝込んでしまった。

後頭部の痛み
奇妙な視覚障害
四肢の麻痺
感覚の消失など
さまざまな症状がおこってきた。

さらには
彼女の意識状態は
分裂

一方の意識状態の時は
穏やかな性格なのに

それが突然

別の意識状態に変わると
周囲のことがわからず
幻覚を見て興奮し
汚い言葉をはいたり
ものを投げたりするようにさえなった。

しだいに
ひどい言語障害があらわれ
話す言葉はばらばらで意味不明
時には2週間まったく無言のこともあった。

ヒステリー症状のオンパレードです。
分裂は【解離】としたいところ
ですね。

誤診し放題の危険性
わかりますか?

発達障害
統合失調症
ジル・ドゥラ・トゥレット(チック)
緊張病
器質性精神障害
人格障害
うつ病
適応障害

最近の朝日新聞だと
統合失調症と診断されて
数日後発達障害ってのも
ありそうです。

いずれにせよ
投薬はまぬかれないでしょう。
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アンナの症例①PTSDの発症

これは
神分析誕生のきっかけとなった
事例です。

21歳で発症した聡明で意志の強い女性

人への同情心に富み
他人のために働くことに
なによりの生きがいを感じながら
きびしい家庭に育った。

単調な生活のなか
白日夢に熱中することが多かった。
 

愛する父が病気
(胸膜周囲膿瘍)となったので
彼女がつきっきりで看病するようになり

看護しているうちに
彼女はだんだんと衰弱し

激しい神経性の咳が出るようになったのを
きっかけに受診し
治療を受けることになった。

性格が悪いわけでも
発達障害でもないですね。

咳を
神経性と見抜く力が
治療者にはありました。
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いいなぁ 合理化しない 『着物な毎日をすごす 事務局長ブログ』さん

Ameba(アメーバ)じゃない
よそのブログなんですが
この事務長さん
目指すは
赤ちゃんからこども
若い人
現役世代
お年寄りまで
すべての人間を大切にする社会。
理不尽は許しません。
忙しそうに見えて
実は好きなことを追求する日々。
このごろ毎日着物生活してます。

という社会活動家ですが
いつもパワフルです。
ダウンこの記事には大変勇気付けられました。
2010.05.10 *Mon
前に進むために
いろんな人たちと話をして会議をしてお喋りをして……思う。
なぜ出来ないということを正当化するのだろう。
お金がないから
時間がないから
力量がないから
………
まあ、やれない理由なんていくつでも挙げられるだろう。
でもそのまま出来ないままで終わったら
多分次に来るのは
守りであり、後退しかないのではないか。
わからないことも正当化する人がいる。
わからないのであれば勉強すればいいではないか。
誰でも最初はわからない。
わからないままで放置していることを恥じてほしい。
今以上の力をださなければ新しいことはできないし前には進まない。
そしてどうすれば今以上の力を出せるのかを考えるのが知恵というものだ。
私は
前に進みたいし
誰もやっていないことをしたい。
だから
お金がないとか
時間がないとか
力量がないとか
……絶対に言わない。
学会で
「翠雨ワールド」だとか
「あなたにはできるかもしれないけど
普通は無理ですよ」とか
「採算あうんですか?」とか
変な発言する人がいたら
使わせてもらおぅっとニコニコ

アンナの症例⑥ 精神分析による『ヒステリー研究』の誕生

以上は
ブロイアーという人が
行った症例です。
フロイトはこの症例の病歴と
ブロイアーの行った新しい治療法
(カタルシス療法)に
非常に興味を覚え
ヒステリーの病因と治療法について
まとめるように勧めました。
当時は催眠法が流行していたのですが
何もから暗示をかけなくても
クライエントのから
抑圧していた思いが
吐き出され
抑圧していたことを
自覚できれば

治癒すると
分かったのです。
こうして出来上がったのが
ブロイアーとフロイトの共著
『ヒステリー研究』
(1895年)です。

アンナの症例⑤ コップから水が飲めない

催眠状態は
一見
困った症状のようですが…
その時に
さまざまな症状について、
それがいつから
どんな風にして発生したのかを
根気よく話し合うようにするなかで
すべての症状について
その原因となる心理的外傷
(ひどくショックな出来事)があり
しかもそれは全て
彼女が父の看病をした時期の出来事
であるとわかった。
ふだんは
彼女はこの出来事についてまったく忘れているのだが
催眠状態にあるときは
このことに
ついて語ることができた。

話している最中に症状は
もっともひどくあらわれ

そして催眠からさめたときにはすっかり
症状は消えてしまうのであった。
例えば
彼女はわけもなく
突然水を飲むことができなくなり
どんなに喉が乾いても
水が飲めないという状態が
6週間も続いたことがあった。
この原因については
次のように語っている。
ある夏の暑い日
嫌いだったイギリス婦人のお手伝いさんが
飼っていた子犬に
コップから水を飲ませているのを目撃し
「なんて汚い」との
嫌悪感や怒りなどのコンプレックスを
感じ
怒鳴りつけそうになったのだが
はしたないからと我慢したことを
思い出し
そのとき抑圧した
感情を吐き出すと
急に水が飲みたくなり
おいしそうにコップの水を飲んで
催眠からさめた。
 
このような調子で
彼女のすべての症状は取り除かれ
彼女の病状は
徐々に軽快していった。
しかし
完全に健康になるには
なおしばらくの年月を要した。

アンナの症例④再発

しかし
父が亡くなった時
ものすごい興奮状態になり
深い昏迷状態が2日間続き
その後
再びいろいろな奇妙な症状があらわれる。
周囲の人がすべて蝋人形のように
見えて区別がつかなくなったり
母国語のドイツ語が理解できず
英語を話すようになったりした。
日中は、お化けや骸骨
死人の首などのきみの悪い幻覚に悩まされ
午後からはうとうとと眠り
日没の頃には
催眠状態になった。
幻覚
離人感覚
…も付加されました。
(しかし
これらは後にすべて消えたのです。
大丈夫です。)

アンナの症例③ラポールの形成

治療者は
これらの障害には
精神的な原因があると考えた。
なにかにひどく苦しめられているが
それについて何も言うまいと
決心しているのではないか
話してほしいと
率直に促すと
このときから彼女の症状は
徐々に改善し
そのうち病床を離れることができた。
ラポールの形成
と言います。
心理療法の基本中の基本です。
こころが自由に交流している
状態です。
箱庭療法のカルフさんなら
【自由にして保護された空間】と
言うでしょう。
そっちがわかりやすいかな?
自分の感じたことを話しても
大丈夫だという安心感がある
状態で
「黙ってしたがってください。
転院は自由ですよ!」
なんて叱られるおそれのない
関係です。