真子さまと複雑性PTSD

宮内庁は

2021・10・1

秋篠宮家の長女眞子さまが

「複雑性PTSD」

(複雑性心的外傷後ストレス障害)の状態にあると

発表しました。

診断した

精神科医の

秋山剛・NTT東日本関東病院品質保証室長の

文書の全文は以下の通りです。

(原文まま)

【「複雑性PTSD」の診断】

眞子内親王殿下は、ご結婚に関する、ご自身とご家族及びお相手とお相手のご家族に対する誹謗中傷と感じられるできごとを、長期にわたり反復的に体験された結果、「複雑性PTSD」(複雑性心的外傷後ストレス障害)と診断される状態になっておられます。

PTSDでは、強い恐怖を感じるトラウマの体験のために、トラウマを想起させる出来事の回避、何らかのきっかけによるトラウマの再体験、些細な刺激で強い脅威を感じるといった症状が起こります。

「複雑性PTSD」は、ICDの第11版で、2018年に新しく導入された診断名です。この診断名は、PTSDと診断されていた方の中で、長期的に反復する、逃れることが難しい人為的なトラウマを体験していて、「自分には価値がないと思い込む」「感情が不安定になる」「他の人との関係を避けてしまう」といった持続的な症状のみられる方を特徴づけるために導入されたものです。「複雑性PTSD」は新しい診断名ですので、現在PTSDと診断されている方の中にも、実際には、「複雑性PTSD」の診断に該当する方がかなりおられると思います。

「複雑性PTSD」は、言葉の暴力、例えば、ネット上の攻撃、いじめ、ハラスメントなどでも起こります。こういったトラウマを体験すると、どなたでも「複雑性PTSD」になる可能性があります。ネット上の攻撃、いじめ、ハラスメントなどのために、尊い生命が失われていることは、みなさまよくご存じの通りです。

【症状と経過】

眞子内親王殿下は、ご結婚に関する、ご自身とご家族及びお相手とお相手のご家族に対する、誹謗中傷と感じられるできごとが、長期的に反復され、逃れることができないという体験をされました。このため、2018~19年頃から、誹謗中傷を正すことが難しい、状況を変えることが困難であるという無力感を感じる状態で、ご自分達の人間としての尊厳が踏みにじられていると感じ、また、結婚後、平穏で幸福な生活を送りたいという願いが、不可能となってしまう恐怖を感じるようになられたと伺っています。このため、ご自分を価値がないものと考えられたり、感情が揺さぶられたり、以前に比べると他の人との関係を避けてしまうことがおありになったようです。

後には、誹謗中傷と感じられる内容を目にした場合はもちろん、例えば、特定の文字をみると、実際には関係のない内容であっても、恐怖感を再体験(フラッシュバック)することがあったと伺っております。ある時期からは、誹謗中傷と感じられるできごとに関する刺激は、できる限り避けていらっしゃるとのことです。加えて、人生が壊されるという恐怖感が持続し、悲観的になり、幸福感を感じるのが難しい状態になっていらっしゃいます。このため、些細な刺激で強い脅威を感じられたり、集中困難、焦燥感、無気力といった症状も、おありのようです。皇族のお立場として、公的なご活動には精一杯の力を尽くしておられ、私的なご勤務なども継続されていましたが、日常的に、非常な苦痛を感じられることが多いと伺っております。

【「複雑性PTSD」の状態とご結婚について】

眞子内親王殿下におかれましては、公的な活動等もなさっていらっしゃるように、判断力には影響が生じておりません。結婚の準備を進めることにも支障はありません。

結婚されることで、眞子内親王殿下のご結婚に関する、ご自身とご家族及びお相手とお相手のご家族に対する誹謗中傷と感じられるできごとがなくなれば、「複雑性PTSD」の改善が進むと考えられます。ご結婚について、周囲の方々からの温かい見守りがあれば、ご健康の回復がさらに速やかに進むものと考えられます。

※ICDは世界保健機関(WHO)による国際疾病分類