月別アーカイブ: 2010年2月

哲学か死か

『車輪の下』の主人公はハンス
哲学的命題をかかえるうち
挫折感や劣等感・不安などの
コンプレックスに悩みます。
アルコールを呑んで
溺死しました。

フロイトの症例のハンスは
お父さんが怖いのに
馬を怖がりました。

中川昭一氏は
何かつらいことがあって
(父親の自死は充分哲学的命題になりえます)
アルコール依存となり
窒息死しました。

哲学者でなくても
哲学的命題に悩むことが
人間にはあります。

いくら難しくても
つらくても
それを考えるしかないのです。

【PTSD】に罹患すると…
①哲学的命題に向かい合うか
②結果的自死か
③病院で薬づけになるか
④ODか…

最近
病院は長期入院させてもらいにくいですし
拒否権も行使されますから
①か②しかありません。

しかし
宮崎駿監督はポニョに
哲学的命題を解かせたのでしたね。

あきらめてはいけないと思います。
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中川昭一氏

ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』は
平成の日本を予言したような作品です。

ヘッセの視線で
自殺予防を考える必要があります。

『車輪の下』の主人公ハンスは
年間3万人の自殺者の【象徴】です。

自殺法に流行があり(ヒステリー症状)
2010年2月現在は車輪の下ですが、
ハンスは溺死です。

飛び込もうと思って
飛び込んだのではありません。
アルコールによるものでした。
アルコールが好きだったのではありません。
自暴自棄になって呑んだのです。
自暴自棄になったのは
絶えられないショックのためでした。
要するに
【PTSD】によって殺されたのです。
死のうと思って死んだのではありません。
ここが大事なところです。

昨年10月4日に死去した中川昭一氏ですが
行政解剖の結果、
循環器系に複数の異常があったことが
捜査関係者への取材で分かっています。
また弔問客によると、
遺族側は死因を「急性心筋梗塞(こうそく)」と
説明しているそうです。

しかし
中川氏の死を発見した妻は
4日朝、
ベッドの上でうつぶせになり、
ベッドには嘔吐(おうと)した形跡があったと言います。

中川氏はその頃
睡眠薬を服用していたそうで
室内の机には
病院から処方された睡眠薬とみられる錠剤が
置いてあり
行政解剖の結果
アルコールの成分も検出されています。

依存症であったことは
酩酊会見により
国際的に知られた事実です。

依存症になるには
それなりの理由が必要です。

少なくとも(実際はわかりませんが)
お父様の自死は考慮すべき原因でしょう。

つまりPTSDが
中川氏をアルコール依存症にし
死に追いやったのです。
希死念慮はなかったと思います。
これが【PTSD】による自殺の実態です。
自殺と呼べるかどうかわからないようなものです。
ハンスと同じです。
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『車輪の下』

ヘッセの『車輪の下』のあらすじは…

天才的な才能を持ち育ったハンスという少年は
エリート養成学校である神学校に
2位の成績で合格します。
町中の人々から将来を嘱望されましたが、
神学校の仲間と触れ合ううちに
勉学一筋に生きてきた
自らの生き方に疑問を感じはじめました。

周囲の期待に応えるために
自らの欲望を押し殺してきた果てに
ハンスの細い心身は疲弊してしまいます。
勉強に対するやる気を失い、
ついには神学校を退学しました。

その後
機械工となって
出直そうとしますが
挫折感と
昔ともに学んだ同級生への劣等感から
自暴自棄となり、
慣れない酒に酔って川に落ち溺死しました。

年間3万人の自殺者の
こころのうちを言い当てたような
凄い作品だと
恐ろしくなりました。

①能力がなくて適応できないのではない 【適応障碍の内実】
②哲学的問題を抱えたのが発症の根本原因 【能力が低いのではない】
③何かを【否認】している
④無気力=【解離】の背景としての①~③
⑤挫折感・劣等感という心理的原因→アルコール依存→死 【PTSDによる結果的自殺の内実】
⑥【車輪の下】とはなんという比喩でしょう。
 JRのダイヤは
 現在
 乱れに乱れています。
 職員さんたちに元気がないのは
 当たり前でしょう…

【PTSD】について
みんなで学ばなければなりません。
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准教授が銃乱射なぜ?アメリカの大学の光と影

読売新聞からです。

PTSD研究家翠雨の日記

米アラバマ州ハンツビルで警察に逮捕されたビショップ容疑者(右から2人目)=12日、AP 【ワシントン=山田哲朗】米南部アラバマ州のアラバマ大学ハンツビル校で12日に起きた女性科学者による発砲事件をきっかけに、米国で研究者にかかる心理的重圧が議論を呼んでいる。

 同大の生物科学部准教授エイミー・ビショップ容疑者(45)は同日午後、学部の教職員会議で同僚に拳銃を発砲。教授ら教員3人が死亡、ほかの教職員3人が負傷した。

 警察で動機を調べているが、米メディアはビショップ容疑者が昨年から「テニュア(終身在職権)」の審査を受けており、事件の直前に却下が決まっていたことに焦点を当てている。

 米国では、テニュアは若手研究者が目指す大きな目標だ。5~6年のうちに研究成果を上げ、教授会の審査を通ることで、「テニュア」を獲得できる。連邦教育省の統計(2005~06年)によると、大学教員のうちテニュアを所持するのは半数にとどまる。

 テニュアがないと、任期付きの雇用契約など不安定な地位に追い込まれ、肩書も准教授止まりが普通。ビショップ容疑者も2003年にハーバード大からアラバマ大に移り、今学期限りで雇用契約の打ち切りを迫られていた。報道によると、最近は「テニュアの審査が公平でない」と周囲に不安を漏らしていた。

 米紙ニューヨーク・タイムズのウェブサイトでは事件後、「パブリッシュ・オア・ペリッシュ(論文を書かなければ消え去るのみ)という文句が、どれほど人間の心理をゆがめるか」「大学当局がパートタイム依存を強め、少ないテニュアの口への競争が激化している」「テニュアの審査をもっと透明に」など、テニュアに関する読者投稿が相次いだ。

(2010年2月15日06時42分 読売新聞)

死活問題とか
よく言いますが…
PTSDを起こしやすい
1つの要因ですね。

競争は必要ですが
競争が行き過ぎたとき

本来競争すべきでないところで
力が働きはじめて

理不尽なことや非合理なことが起きやすいのだと
思います。

すぐ結果を出そうと焦って
直接的即座的な行動に出てしまう。

とても【象徴的】な事件だと
つくづく思います。

いつかの学会で
私の発表への怒りがコントロールできず
指定討論者なのに
終了時間を待てずに
出て行った精神科医が
なんだか
かわいく思えてきましたニコニコ
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ケタミン吸引の詩音被告に刑猶予 麻薬使用罪

2010/02/15 16:44 の【共同通信】 からです。
PTSD研究家翠雨の日記
合成麻薬「ケタミン」を吸引したとして、
麻薬取締法違反罪に問われた韓国籍の女性歌手詩音(本名朴有香)被告(26)に
横浜地裁(杉山正明裁判官)は15日、
懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年)の判決を言い渡した。
詩音被告は判決後、
報道陣に「絶対にもう一度歌えるようになる。
待っていてくれるファンのために頑張る」と話した。
この日の初公判で結審、即日判決が言い渡された。
杉山裁判官は判決理由で
「刑事責任は軽くないが
社会内での更生を期待できる」と述べた。
詩音被告は起訴内容を認め、
検察側は冒頭陳述で「仕事が急激に増え、
ストレスを発散させるため
ケタミンを使うようになった」と指摘した。
判決によると、
昨年12月9日ごろ、
横浜市中区の自宅でケタミンを吸引した。
詩音被告は
2004年から出身地の横浜市で音楽活動を開始。
08年5月発売のデビューアルバムは、
音楽情報会社オリコンのランキングで
9位を記録するなど若者に人気だった。
本人が言ってますね。
ストレスが原因で薬物に手を出したと。
薬物依存も【PTSD】の結果だということです。
これは心理療法の対象ですから
海外では
刑務所ではなく
治療所に送られます。
それを拒否したとき
はじめて刑務所に行くのが
グローバルスタンダードです。
政情不安のアフガニスタンでも
それは常識です。
日本は厳しい国です。
何でも
【根性】で直すことを強要されます。
のりピーの釈放時の
きりっとしたあの表情は
その決意の表れだと思いました。
治外法権の
厳しい国で
つべこべ言わず
がんばるから
日本人は
凄いのかもしれません。
でも…

北新地の高級クラブ、7800万円脱税

2010年2月15日 20:12 グーグルニュースからです。
大阪国税局は、
大阪・北新地の高級クラブ
「マダム小阪」の経理担当者(60)を
所得税法違反の疑いで
刑事告発しました。
 
関係者によると、
マダム小阪では
現金で支払った売り上げを計上しない手口で
08年までの3年間に約2億円の所得を隠し、
約7800万円を脱税した疑いが持たれています。
 
告発された経理担当者は
クラブの経営者の夫で、
「水商売はいつ店を閉めるかわからないので、
将来のために財産を残しておきたかった」と
話しており、
隠した所得を預金やマンションの購入費に充てたと言います。
不景気と言いながらも
まだまだ
潤っている産業はあるのですね。
それは本当に必要だからでしょう。
現在日本では
ユング派の資格を取得しても
お客さんが来ないので
大学教員に応募する人が続出です。
医師免許を持っていても
例外ではありません。
PTSDに罹患しても
「ここに行けば大丈夫!
是非行きなさい!
なぜ行かない?!」
そう言える場所がないなら
代替品が必要…
一に酒場
二にアルコールの自己処方
三にOD
四の薬物は危険度UPするが
入院もハードル高く
ODは同じこと…しょぼん

うつ病自殺、上司言動が一因と認める判決?!

2010年2月15日22時23分 YOMIURI ONLINE からです。
「日本通運」大阪旅行支店(大阪市中央区)に
勤務していた大橋均さん(当時56歳)が
うつ病となり、
自殺したのは
退職強要が原因だったとして

妻ら遺族3人が
同社に
計約5000万円の
損害賠償を求めた訴訟の判決が
15日、
大阪地裁であった。
 
田中敦裁判長は
「自殺は予見できなかった」としたが、
上司の言動がうつ病の一因になったことは認め、
慰謝料約330万円の支払いを命じた。
判決によると、
大橋さんは
2004年6月にC型肝炎で入院。
翌月、うつ病になり、
06年11月に自殺した。

田中裁判長は、
大橋さんの入院前後に、
上司が「自分から身を引いたらどうか」などと
発言したことについて、
「精神面を含む健康管理上の安全配慮義務に違反する」と
指摘した。
日本通運広報部は
「判決内容を検討して対応を決定する」
としている。
これが現在の日本の常識です。
「自殺は予見できなかった」
というのは正解です。
本日の他の記事に書きましたように
PTSDによる結果的自死です。
自分のなかの他人による殺害です。
世間では自殺と呼びますし、
自分で自分に刃を向けるのですから
確かに自殺でいいと思いますが…
しかし
「上司の言動が自殺の一因になった」
これはどうでしょうか。
うつ病は内因性の病気
内因のない人は
どんなにいじめられても
死にそうな恐怖を味わっても
決してうつ病にはなりませんし、
うつ病の治療(抗うつ剤を正しく飲んで休養する)で治癒するはずです。
C型肝炎という病気に罹患したことは
ショックでしょう。
その上で退職まで強要されたら
どうしていいのかわからなくなります。
家族のことを思うと
パニックになりそうなトラウマを体験したかもしれません。
これはやはりPTSDでしょう。
上司の言葉を
「精神面を含む健康管理上の
安全配慮義務に違反する」と
指摘したのは正しいと思いますし、
そういう配慮のない世間に対し
模範例になる判決理由です。
しかし
心因反応としてのうつ病
これはいただけません。
この誤解から
多くの命が
『車輪の下』
なのですから…

C.G,ユングと日本のユング心理学

PTSDはつらく
どうして
こんな理不尽な目にあわなければならないのかと
罹患者はみな思います。
これからどうしたらよいのか
途方に暮れます。
今、自分が置かれている不幸の意味について
立ち止まって考えなければ
一歩も進めません。
これは存在論そのものです。
PTSDに巻き込まれた人は
誰でも哲学者になります。
哲学は哲学者の専売特許ではありません。
宗教は信者の専売特許ではありませんし、
頭ごなしに信じるだけのものでもありません。
臨床心理学の歴史は
浅く
哲学や宗教から派生したものです。
だから
C.G,ユングは言いました。
「心理療法の最高の目的は
患者を
ありえない幸福状態に移そうとすることではなく、
彼に
苦しみに耐えられる強さと
哲学的忍耐を可能にさせることである」
なのに
現在の日本のユング派は
哲学や宗教を
【否認】する。
PTSDを発達障碍や適応障碍とみなし
教育しようとする。
なぜだろう?

哲学か死か

『車輪の下』の主人公はハンス
哲学的命題をかかえるうち
挫折感や劣等感・不安などの
コンプレックスに悩みます。
アルコールを呑んで
溺死しました。
フロイトの症例のハンスは
お父さんが怖いのに
馬を怖がりました。
中川昭一氏は
何かつらいことがあって
(父親の自死は充分哲学的命題になりえます)
アルコール依存となり
窒息死しました。
哲学者でなくても
哲学的命題に悩むことが
人間にはあります。
いくら難しくても
つらくても
それを考えるしかないのです。
【PTSD】に罹患すると…
①哲学的命題に向かい合うか
②結果的自死か
③病院で薬づけになるか
④ODか…
最近
病院は長期入院させてもらいにくいですし
拒否権も行使されますから
①か②しかありません。
しかし
宮崎駿監督はポニョに
哲学的命題を解かせたのでしたね。
あきらめてはいけないと思います。