月別アーカイブ: 2010年2月

『冬のソナタ』の呑んだくれ

『冬のソナタ』に
酔っ払いが出てきます。
飲んだくれて
ユジンに「来い!」と絡みます。
嫌がるユジンに対して
しつこく腕力で連れ去ろうとします。
チュンサンが通りかかって危機を回避しましたが…
警察署で、
酔っ払いはユジンが誘ってきたから
お酒くらいなら一緒につきあってもいいかと思ったんだと言います。
悪い大人ですね。
しかし街中で日常的に起こっていることでもあります。
高校生にとっては事件もショックなら
しゃあしゃあとうそをつく大人もショック
警察官の尋問もショック
父親に電話しなさいとしかられる理不尽もショック
ショックだらけです。
ユジンはチュンサンと一緒だったけど
たった一人で
もしかしたら小学生で
こんなショックを受けている子も少なくないはずです。
PTSD増加の背景がたくさん浮き彫りになってきます。
そして酔っ払いですが…
これも依存症ですね。
依存症の背景にはやはりPTSDがありますね。
何の理由もなく依存症になったりしないです。
最近
父親自死のトラウマから依存症になり
国際的にその重篤度を証明したあと死亡した大臣がいました。
ドラマの呑んだくれも
何らかのつらい経験があったのでしょう。

PTSD雑感

いろいろ書いてて気づいた。

PTSDは
★精神科では【うつ病】周辺の診断名
★心理療法では【知的障害】か【適応障害】あるいは【人格障害】の見立て
★世間では【仮病】【怠惰】【わがまま】【どうしようもない性格】との切捨て

になりやすいしょぼん
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断食道場は厳選しましょう

摂食障害について書いた記事で
【断食】のことに触れましたが、
こんな記事をみつけました。

安室ちゃんとロンブー淳が訪れて、日本では話題になっている様子のセドナですが、ここのスエットロッジで、昨年死亡事件が起き、先日、とうとう主催者が逮捕されました。
スエットロッジセレモニーは、アメリカインディアンのラコタ族に伝わる儀式の1つ。
文字通り、「汗の小屋」という意味で、ラコタ語では「イニーピー」といいます。「子宮回帰」を意味し、身体と心、そして魂の浄化と統合の儀式だそうです。
ラコタの聖数、4と7の倍数の枝を使い、子宮をシンボライズした半円球のドームを作り、その中に焼石を入れ、それに水をかけサウナのような状態の中、セレモニーが行なわれます。儀式後、イニーピーから出てくるとき、新しい命を与えられるんだそう。
主催者は日本でもベストセラーになった「ザ・シークレット」のDVDにも出演していたジェームス・アーサー・レイ。彼には「成功の科学」「引き寄せの法則」などの著書もあり、こちらではグルのような存在です。
彼が主催した「スピリチュアル・ウォリアー」というセミナーでは、36時間の断食を行なった後、精神浄化の儀式としてスエットロッジに入ります。
これが行なわれたのは、エンジェルバレーという宗教法人の非営利組織が運営する高級リゾート。セミナー参加費は1週間で$9,695!
ここに用意されたスエットロッジ内には、60人もの人が詰めこまれたそうで、この儀式で、多くの人が気分が悪くなり入院、40歳の男性と38歳の女性をはじめ3人が死亡しました。この管理責任を問われ逮捕となったわけです。
スエットロッジは、いわゆるサウナ。簡単に脱水症状になり得ます。スピリチュアルイコールすばらしいとは限りません。みなさん気をつけて下さいね。

危ないのもありますから気をつけましょうね。
それから、こういう場所があるからと言って
なにも【断食】自体が無意味であるわけではないし、
摂食障害と断食の関係が否定されるわけでもありませんよ。
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『冬のソナタ』のチュンサンとポニョ

『冬のソナタ』の続きですが…
チュンサンはユジンと自分がきょうだいかもしれないと知り、
ショックを受けました。
母親は亡くなった父親についての話を避けています。
チュンサンにも父親については不問のまま封印して生きることを望んでいます。
これがチュンサンの家族(母子)の共通の物語です。
しかし父親がいないというのは
寄る辺なく、さびしいものですね。
父親がいる子どもが遭遇しないようなフクザツな思いを積み重ねることにもなります。
(こころに深みは出るでしょうが)
第一話では
事件に巻き込まれたチュンサンとユジンに警察官は
はやくお父さんに電話しなさい、なぜしないか!と怒ります。
最後の最後に二人はぽつり「いません…」と答えます。
ユジンの父親は病死、チュンサンの父親は不明です。
「そんなことで!」と否認しがちですが
また必ずトラウマになるというものでもありませんが、
頭ごなしの否認に再考を促しているような気もしました。
子どもたちのこころは思いのほかフクザツなんですよと。
さみしい思いや複雑な思いをした子は
もはや【母の物語】を共有することはできず
【自分の物語】を生きなければならなくなります。
これが【自己実現】あるいは【個性化】の物語です。
実はポニョも同じです。
父フジモトは人間に失望し、海の底に住んでいます。
そしてポニョを海の底に閉じ込めます。
かわいいからですが、ポニョはそれが嫌で家出をするのです。

『冬のソナタ』はPTSDの教科書だった…

読売TVで『冬のソナタ』の再放送をしてるなあと思っていたら、
今日は最終回だった。
韓流ブームはもう終わったのかなと思っていたけど、
まだまだのようです。
人気の秘密は何かなあと考えてみて
びっくり!
そうっかあ
冬ソナってPTSD物語じゃないか目
幸せの絶頂にいたのに
交通事故で恋人が死亡してしまう。
悲哀のなか気持ちをたてなおして新しく生き直そうとしていたら
死亡したと思っていた恋人が現れる。
叫びしかも彼は記憶喪失&解離により別人になっている。
実は、交通事故に会う前に
解離を起こすほどのショックを彼は受けている。
若き日の母が、出会ったばかりの自分の恋人の父親と手をつないでいる写真を見つけたのだった。
父親を知らず、母も教えてくれないから、密かに父親探しを始めた矢先に出会った恋人が、実のきょうだいかもしれないという事実はあまりにショッキングだ。
ユジンは悲哀に絶えながら現実を生きているから正気を保っている。
そういえば彼女はいつも少し高いところでバランスを取りながら歩くのを好む女の子だった。
チュンサンは、ショックのあまり現実から逃避(黙って海外へ)しようとした結果、
交通事故に遭い、記憶喪失という名の解離性健忘を起こした。
否認したらPTSDに呑み込まれるから、つらくても逃げてはいけないんですね。
チュンサン(罹患者)もつらいが、ユジン(親しい人)もつらい。
また周囲の人間関係も複雑になる。
PTSDの教科書そのもののような『冬ソナ』
PTSD蔓延の世の中で心に響き続けるは当然でしょう。

格差とPTSD

2月4日朝日新聞によると

昨年12月中旬
中国の山間の小さな村で
6歳から86歳までの村民13人の殺害と放火の容疑で
34歳の男性が逮捕された。
犯行を悔やむ供述はないらしい。

地元警察当局者は
容疑者の意識は極めてはっきりしていて
精神を病んでいると疑う余地はないと語っている。

しかし北京の心理学者は
「出稼ぎで受けた不公正さ、被差別感といった小さな怒りが積み重なって
大きな恨みを生んだのではないか」と
北京紙に語っているし

村の老人は容疑者についてこう言っている。
「以前は自信にあふれた男だった。
それが出稼ぎから戻ってきたら
一変して、
おどおどと何かにおびえるようになっていた。
驚いたよ」

格差社会もPTSDを生むことがあるだろう。
日本でも本当はたくさん起こっているのだろう。

大きなショックがPTSDを引き起こし
自傷他害の事件を起こすことがある。
自傷と他害のあいだにあるのはこの世の地獄だ。

何も『ホームレス中学生』ばかりではない。
「貧しさに負けるな!」だけではもはやムリである。

こころの橋をかける事業対策が焦眉の問題である。
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どうしてPTSDは否認されるのか

本当は
PTSDは思いのほかよくあちこちで発生していると思います。

心的外傷後ストレス障害のことだから。

ストレスなんてありふれたものの度合いがちょっと基準値をオーバーすると
知らない間に起こるわけで
この知らない間というのがまた厄介ですね。

ストレスを緩和しようとして
【解離(この場合は麻酔と訳したほうがわかりやすいでしょう)】が
起こる。
そういうのは無意識に処理されているから
意識的には平気なんですね。

でも不思議なおみやげがもれなくついてくる
「食べられない」
「眠れない」
「仕事にならない」

そして
「食べられないだけ」
「眠れないだけ」
「仕事ができないだけ」
と思う。

心的外傷(トラウマ)となるようなショックな事件は
思い出せないし、そんなのないと思う。

必要があって忘れてるのだから
思い出せるはずがない。

早く直したいから
できたら薬で治りたいと思うかもしれない。

しかし駅前のクリニックの自動ドアにたどり着くまえから
その人の診断名は決まっている。
『精神科医はシャーマンか?』 ←冗談でなく大昔はそうでした

うつ病とかバイポーラとか新型うつ病とか
流行の最先端の診断ではあるけど…

心理療法でも
傾聴せず、常識にとらわれたものでは
とてもPTSDにたどりつくことができません。
【知的障碍】【適応障碍】として
処理されます。
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ラポート形成能力の解離

をかける

リンゼイさん殺害容疑の市被告、バラバラ殺人容疑の三被告

共時性(意味ある偶然の一致)
私が京都で呑んだら、ナミビアのブッシュマンが踊りだす
…ことはないっか。
無意識の研究によれば、まあそういう意味になります。

ラポート形成(橋をかける)能力は誰でも持っています。
5歳の宗介でも持っています。
当たり前にできることができなくなることを
当然知っているはずのことがわからなくなってしまうことを
怖いはずのものが怖くなくなってしまうことを
【解離】と言います。

PTSDを否認する心理療法家のラポート能力は
【解離】しています。
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かぐや姫を救え!

摂食障害とかぐや姫には密接な関係があることが知られているわけですが、
摂食障害に苦しむ人は
『私はかぐや姫かあ』
と知っても少しもうれしくない。

ましてや
【わがまま】【知的障害】扱いされて
適応指導されるなんて…

『私はアリスか?』
病院にはトランプの女王とか時間厳守の車掌とか(ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』より)
わけわからないのばかりいて
多数に無勢
負けそう!

実はかぐや姫も現実で結婚(現実でみんなと同じように適応)させられそうになり
『ダメかも…』と気弱になるシーンがあります。
気弱になってもあきらめないことが大事ですね!

牛島定信『神経性無食欲症にみるかぐや姫コンプレックス』(季刊精神療法 1987)を紹介しましたが、かぐや姫と摂食障害の関係について知られてからもう20年が経過しています。

もうそろそろかぐや姫の本心を誰か理解してあげないと…

古典のかぐや姫も摂食障害に苦しむ人たちも
もうこれ以上待てません!
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摂食障害とかぐや姫イメージ

摂食障害とかぐや姫には密接な関係があることが知られています。
牛島定信『神経性無食欲症にみるかぐや姫コンプレックス』(季刊精神療法 1987)なんかに書かれています。

食べないというより
食べられない…。
なぜでしょうか。
ゆっくり考える必要があります。

たとえば…
人間は食べなくては生きられないという常識の一方で
【断食】する人々もいます。

世界三大宗教の開祖はみな
断食をすることで
新しい宗教を創造しました。

それで修行や通過儀礼ではよく断食をします。
1つの【魔法】みたいな【秘儀】なんですね。

われわれの無意識は経験したことだけでできているわけではなく
(呼吸の仕方を習ってから生まれてきましたか?)
何か行き詰ったら断食せよ!とあらかじめインプットされているのです。

整形逃亡の果てに逮捕された市橋容疑者は2週間も食を拒否しました。
食べなかったのではなく
食べられなかったのですね。
【急性PTSD(ASD)】です。
逮捕されたのがショックだったんですね。
食べ方がわからないのではなく、PTSDという原因があって、【解離】のために食べられなかったのです。

摂食障害の心理治療は個性化の過程として取り扱われるべきですが、
残念ながら市橋容疑者同様【わがまま】扱いがまかり通っています。
(もちろん犯罪はいけませんが、
現在の本人の行動までがすべて間違っているわけではありませんね)

せっかくかぐや姫のイメージが表現されて
『先生、私はかぐや姫なんです』
と打ち明けても、
本来あるべき静かに輝く月の世界に返してもらえない(個性化されない)で
知的障害・適応障害に嵌め殺される。
『食べ方くらい知ってますよお!』
『わがままじゃないですよお!』
叫ぶ声が聞こえてきます。

そういうわけで摂食障害の人たちはあんまり病院に行かないのです。
死にたくないからです。
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