全国の児童相談所が
2016年度に対応した
児童虐待の件数は
12万2578件で
前年度より
1万9292件(18・7%)増え
26年連続で過去最多を更新中です。
京都精華大学の学長である
竹宮恵子さんは
漫画家だった頃に
読者からの手紙で
世の中には
壮絶な児童性虐待があることを知り
苦労して
(過激すぎるとして「ボツ」にされる…)
『風と木の詩』を世に出しましたが
少年同士の恋愛ばかりが注目され
(普通の恋愛にすると
ヤンママ物語に移行してしまうので
話がややこしくなるための苦肉の策だった)
WHOからも目をツケられそうになりました。
(発禁の危機)
先見の明がありすぎると
こういう目に遭いますが
竹宮さんは
そんなことは覚悟していたそうです。
凄いですね。
鑑みれば
エディプス王の物語も
そのまま読めば
近親相姦のタブーですが
フロイトは
「エディプスコンプレックス」という
(西洋男性限定でしたが)一般にもみられる
現象という視座を
提示したし
多くの人は
そんな興味で見ないから
演劇として成り立ち
今でも人気があるわけですよね。
『風と木の詩』がよいか悪いかではなく
養育者から
小児性虐待を受けたジルベールのような子が
この世に存在しているということが
大問題なのです。
馴れ馴れしく近づいてくるかと思えば
急に突き放したりする性格は
「人格障害」の特徴であると言われますが
ハーマン同様
竹宮恵子さんも
その原因が
児童虐待にあり
「手に負えない子」として
施設に入れられたりすることも多いけれども
適応できないばかりか
他児に自分がされたことをするなどして
負の連鎖してゆくことを
充分ご存知だったわけです。
『明日ママ』では
流石にそのまま表現されませんでしたが
(経験者は「甘い!」と批判していました)
ヒロイン「ポスト」には
赤ちゃんポストに捨てられた子という意味以外に
「ポスト風と木の詩」も
こめられていたかもしれません。
発売された時代は
被害児らが
この作品に出会い
正しく意味を読み取って
救われたそうです。
癒やしの場は
かたちを変えて
気づかれない場所に存在しているのでしょう。