芥川賞受賞作です。
ひとり暮らしの桃子さん(74)は
幻聴のような
脳内の住人の声が聴こえ出してきて
「私の頭この頃ちょっとヘンかも…」と
心配になりますが
認知症かなと不安になったら
病院に行く前に
この本を読んでみてください?
「おめ」と「おら」が対話し始め
宮澤賢治『永訣の朝』の
「Ora Orade Shitori egumo」
自我と自己
自分の好きなように生きていく
決意をするまでになった物語です。
現実の話がほとんど出てこないところや
内面の物語
優しい夫とかわいい子どもたちがいる
家庭で幸せに暮らしていても
本当の自分と本当の家があるから
どこか寂しいなと感じていて
夫を送り
「おひとりさまの老後」を迎えた途端に
小説を書き始めたところが
固着と退行
固着には
やり通すだけのエネルギーがあり
表現しつくせば消える。
なんとなくユング心理学っぽいなと思えば
河合隼雄の本を読んで
公認心理師が捨てた河合精神
共感したと話しておられました。
ご出身の遠野でも
ご老人たちは
「棺桶に片足をつっこまないと
つまり死にそうにならないと
わからないことがある」と
つまりは自己実現することもない。
話していて
「わかりたい」「かたりたい」という気持ちが
とても強かったそうです。
脳内の多重人格性に
きちんと向き合うことは大事ですね。
マーニーも幻覚(おめ)でしたね。