難解さに酔う人が多い村上春樹ですが
長編小説第一作目ですから
箱庭療法でも夢分析でも
最初の作品に
未来予想図が表現される。
この作品から分析してみました。
結論から言うと
「ねずみ」という奇妙な男が
フラッシュバックに苛まれながらも
抑圧していたトラウマ話を
父親殺しコンプレックスから
酔っ払って煽られ
快楽完全殺人をさせられた
罪悪感
主人公に話せるようになり
映画で自己表現し始めることで
元気を取り戻し
個性化の過程を歩み始める物語でした。
毎年クリスマスに送られてくる8ミリビデオというのが
(日常の土=集合的無意識 を掘り始める「ねずみ」)
村上作品なのでしょう。
犯行の現場は
神戸まつりのような人が多く集まる場所で
援交中の女性が
金持ちの援交相手を呼び出し
酔っ払った「ねずみ」が
完璧ないたずらのつもりで面白半分に
集団ヒステリー心理を操作した結果
援交相手の男性は群衆に押しつぶされ
車が炎上して死亡したのでした。
この
女性が
人を襲撃させた行為は
ストーカーの第一定義で
聖書の時代にもある普遍的なものです。
このような
酔っぱらいに完全犯罪をさせる心理状態が
【解離】というもので
良心のみを切り離しているからこそ可能なのです。
煽られているようにみえるけれど
実は
父親殺し願望から
父親が金持ちになった背景に疑問があり
自分のレーゾン・デートル(存在理由)に悩んでいた。
意志をもって便乗しているのです。
一昔前は「アニマ」は怖いと言われたものですが
男性のなかの女性性
作者は
長くいると酔うのは
「海とバー」と誰かに言わせています。
「ストーカー心理」恐るべしです。