ジブリ『崖の上のポニョ』」カテゴリーアーカイブ

ポニョの家出と創世記12章

主はアブラムに言われた。
「あなたは生まれ故郷
父の家を離れて
わたしが示す地に
行きなさい。

わたしはあなたを大いなる国民にし
あなたを祝福し
あなたの名を高める。

祝福の源となるように。

あなたを祝福する人を
わたしは祝福し
あなたを呪う者を
わたしは呪う。

地上の氏族はすべてあなたによって
祝福に入る

アブラムは
主の言葉に従って旅立った。
ロトも共に行った。
アブラムは、ハランを出発したとき
75歳であった。

―創世記12章―

75歳の老人に語っているのですから
これは実際の父親と離れるというよりは
父親の家で身についた常識を離れなさいと
いうことだと思います。

自己実現(個性化)するとき
常識がごろっと変わります。

フジモトはポニョがかわいくてしかたがない。
だから失敗して泣いているところを見たくないし
自分のそばから居なくなるのは寂しいから
ポニョを閉じ込める。

それでポニョは家出をするのです。

心理的に
(象徴的に)家出をすることは
大事なことです。

ましてや
DV家庭で
知らず知らずのうちに
身にしみこんだ常識は
家を離れて
1つ1つ解き放っていく必要
があります。

別天地で
生まれ変わって
活き活きと個性的に生きていくためです。
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童謡『金魚の昼寝』とポニョ

ポニョは魚の子でしたね。
赤いワンピースを着ているので
なんか金魚みたいだな
と思っていたら
こんな唄を思い出しました。

金魚の昼寝

赤いべべ着た可愛い金魚
おめめを覚ませばご馳走するぞ

赤い金魚はあぶくを1つ
昼寝うとうと夢から覚めた

ポニョは
海底にいたころは
父親が与える食べ物を食べていましたが

宗介に出会って
ハムやインスタントラーメンの味を覚えました。

PTSD研究家翠雨の日記

夢からさめる(幻想が消える)と
食べ物が変わる(生き方が変わる)のですね。

PTSDを克服すると
生き方がガラッと
変わります。
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我流を貫いた国母選手

バンクーバー五輪
選手はみんななか
なかがんばってますね。
腰パンの国母選手
表彰台には届かなかったようですが、
なかなか【象徴的】な存在です。
「いろいろあったっすけど
最後まで応援してくれた人に
本当に感謝しているし、
自分のスタイルと思いは最後まで曲げなかったんで
それは本当にいいことだと
思ってます」
まだ21歳ながら
内にアスリート魂を秘め
大舞台でバッシングされながらも
自分を見失わなかった。
とてもプロフェッショナルです。
【曲げない】
【我流を貫く】
『崖の上のポニョ』から
『まっすぐな男』と『曲げない女』
に見られる時代精神をそのまま体現して
病に打ちひしがれている人たちにも
強いメッセージを
与えてくれたと思います。

宗介を助けるトキさん

毎日新聞からです。
PTSD研究家翠雨の日記
トキ:求愛の「枝渡し」確認 3歳の雄と1歳の雌 佐渡
枝をくわえて、雌のトキ(右)に近づく雄のトキ=新潟県佐渡市で、佐々木順一撮影 国の特別天然記念物トキの野生復帰を目指し、09年9月に2回目の放鳥が行われた新潟県佐渡市(佐渡島)で19日、3歳の雄と1歳の雌がくちばしで挟んだ小枝を渡す「枝渡し」をする様子が確認された。トキの求愛行動で、放鳥後、初の「2世誕生」に期待が高まっている。環境省によると、放鳥トキの雄と雌の継続的な枝渡しが確認されたのは初めて。
 雌は09年9月に2次放鳥され、本州に渡った後、同島に戻った。2月7日以降、08年9月に1次放鳥された雄と行動をともにしている。しかし同省によると、この雌は別の3歳の雄と枝渡しすることもあるという。
 トキは繁殖期を迎えると、羽を黒灰色の「生殖羽(う)」に変え、群れから離れてペアをつくる。今回、雄は完全に黒く変色し、雌も首の周りが色づき始めている。同省の笹渕紘平自然保護官は「この雌は1歳とまだ若いが、繁殖に期待したい」と話している。【畠山哲郎】

ポニョの登場人物トキさんですが…
宮崎監督の無意識の中で
いろんな要素が混ざり合って
トキさんの形になったものと思われます。
唯識三十頌には
「はじめは阿頼耶識なり。異熟なり。一切種なり」
とあります。
はっきりしているのは
①監督のお母様の記憶
監督のお母様はトキさんみたいな感じの方だったそうです。
②鳥のトキのイメージ
ニッポニア・ニッポンという
とても日本的な学名ですね。
(ちなみに国鳥はキジです)
絶滅危機の品種で貴重だというのもポイントですね。
ありふれた鳥ではないということです。
ポニョの自己実現の物語ですから
トキは【ツキ】とも呼ばれていたそうで
【月】や【槻】に通じるイメージです。
月は女性的ですし、槻は神聖な木です。
③カタカナの【トキ】という時間があります。
タイミングのような刹那です。
タイミングは英語ですが、
英語を使用する人たちはあまり使わない言葉だそうです。
日本人はよく使用します。
落語の『時そば』に見られますが、
時間と空間を一緒くた【一即多】にする
魔法のようなものです。
【素直】になることが【魔法】だと
どこかで書きましたが、
【タイミング】をつかむことも
【魔法】のようなものです。
いくらよいことでも
場違いではもったいないですね。
ポニョの自己実現は
ありえないような魔法物語ではなく
世の中に普通にある魔法です。
トキさんはいつもは偏屈なばあさんですが
宗介の一大ピンチの時に
急に人格変容し、よいおばあさんになって
宗介を導きました。
そういえば
デイケアでポニョを見て
みんなかわいいねとか言ってるのに
「人面魚だ。津波が来るよ!」と言ってました。
物語は実際そのように展開しているので
女性の知恵というか
勘というかを秘めていて
シャーマンみたいな存在です。
監督は
我々は子どもに時間と空間を提供することしかできないわけだし、
○才のこの時間はこの一瞬しかないと思うが
それにのれないとき
「クソっと思う」
と語っておられました。
のれないときはたいてい
つまんないことを考えてしまったときだからだそうです。
邪魔くさいとか、そこまでしなくていいだろうとか
クミコちゃんじゃないけど、服が濡れるとか…
ポニョを宗介が守り、
その宗介をピンチから掬うのは
トキさんに【象徴】されているような
ものだったわけです。
PTSDに罹患した人たちにも
こんな支援が必要です。
孤立無援の人は
自分のなかに
トキさんのような
みんなに流されず
本質を見抜く目を
養うことです。

河合隼雄『子どもの宇宙』とポニョ

河合隼雄さんが
『子どもの宇宙』という本を遺されています。
すばらしいので
長くなりますが
紹介します。
この宇宙の中に子どもがいる。これは誰でも知っている。しかし、ひとりひとりの子どものなかに宇宙があることを、誰もが知っているだろうか。それは無限の拡がりと深さをもって存在している。大人たちは、子どもの姿の小ささにまどわされて、ついその広大な宇宙の存在を忘れてしまう。大人たちは小さな子どもにある広大な宇宙を歪曲してしまったり、回復困難なほどに破壊したりする。このような恐ろしいことは、しばしば大人たちの自称する『教育』や『指導」や『善意』という名のもとになされるので、余計にたまらない感じを与える。
現在では
『教育』や『指導』や『善意』のあとに
『心理治療』を加えなければなりません。
天国で
何と感じておられるでしょうか。

ポニョと妹たちの違い

PTSD研究家翠雨の日記
ポニョと妹たちです。
妹たちは集団で行動するのが楽しいし
そのことにあまり不便や問題を感じていません。
ポニョは
妹たちと仲良しですが
それだけでは退屈になってきました。
妹たちのように生きたいのに
うまくいかない人たちには
【適応論】での教育が必要です。
【適応障害】や【発達障碍】がこの範疇に入ります。
ポニョは
ムリに妹たちに合わせようとすれば
できないことはないのですが、
それでは
ポニョの個性が死んでしまうので
家出したいと思うようになったのです。
だから
ポニョは
能力が低いわけでも性格が悪いわけでもないのです。
この場合は
【個性化の過程】あるいは【自己実現】を目指しているので
妹たちとは違う支援が必要になります。
家出と聞くとギョッとしますが
それで非行問題としてしまったり
常識がないとかやりにくい子だということで
しつけようとすると
ポニョもフジモトもヘトヘトになります。
しかし
そういう親子は案外多いです。
専門家が親に加担するからですね。
自分もそういう生き方をしてきたから
ポニョが理解できないのかもしれません。

心理療法に欠如する時代感覚

朝日新聞の社説によれば…

現在のDV支援家は
被害者をせっかく保護したのに
被害者が
被害を否認したり
支援を拒んだりすることがあり
このことが
DV支援を困難にする
一番の原因であると考えているらしい。

これは
【発達障碍】の子どもに対して
その子にふさわしい【ドリル】を与えても
やる気が持続しないために
結果がなかなかでない
    とか
【不登校】の子どもを毎朝迎えに行き
励ましているのに
これまで味わった挫折感を不安に感じ
登校継続に至らない
     などと嘆いているのと同じだ。

何か根本的に間違っているのではないか。

私がDVシェルターで一番感動したのは
たとえ子どもであっても
今の自分の置かれた立場を自分で確かめながら
崖っぷちで考え
答えをつかんでいく姿
だった。

それは
世紀の公案アニメ『崖の上のポニョ』で
【まっすぐさ】を貫き通した
ポニョや宗介の姿と重なる。

今は
まっすぐな男』&『曲げられない女』
放映中である。

筋を通さないのは
専門家のみである。

いまどきのクライエントは
【象徴】が使えない
などと
ユング派の先生たちはおっしゃるのですが

さて…
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ポニョの家出と創世記12章

主はアブラムに言われた。
「あなたは生まれ故郷
父の家を離れて
わたしが示す地に
行きなさい。
わたしはあなたを大いなる国民にし
あなたを祝福し
あなたの名を高める。
祝福の源となるように。
あなたを祝福する人を
わたしは祝福し
あなたを呪う者を
わたしは呪う。
地上の氏族はすべてあなたによって
祝福に入る

アブラムは
主の言葉に従って旅立った。
ロトも共に行った。
アブラムは、ハランを出発したとき
75歳であった。
―創世記12章―
75歳の老人に語っているのですから
これは実際の父親と離れるというよりは
父親の家で身についた常識を離れなさいと
いうことだと思います。
自己実現(個性化)するとき
常識がごろっと変わります。

フジモトはポニョがかわいくてしかたがない。
だから失敗して泣いているところを見たくないし
自分のそばから居なくなるのは寂しいから
ポニョを閉じ込める。
それでポニョは家出をするのです。
心理的に
(象徴的に)家出をすることは
大事なことです。
ましてや
DV家庭で
知らず知らずのうちに
身にしみこんだ常識は
家を離れて
1つ1つ解き放っていく必要
があります。
別天地で
生まれ変わって
活き活きと個性的に生きていくためです。

『崖の上のポニョ』と【わがまま】

『ゲド戦記』風に言うと、

『崖の上のポニョ』は
【真の名】

【わがまま】は
凡夫がつけた【あだ名】

【自己実現】しようとしている
ポニョやかぐやひめの
【真の名】が見えず
【わがまま】さんだと見做し、
【適応論】に閉じ込め          
【適応障碍】や【発達障碍】として
【傾聴】し【ラポール】を形成するという
心理療法の定石すら守らないで
価値判断を押し付けて教育する
そんな失礼なことができる
心理療法家は
フジモトと同じです。

ただ…
フジモトは
最後に
改心しましたよべーっだ!
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童謡『金魚の昼寝』とポニョ

ポニョは魚の子でしたね。
赤いワンピースを着ているので
なんか金魚みたいだな
と思っていたら
こんな唄を思い出しました。
金魚の昼寝
赤いべべ着た可愛い金魚
おめめを覚ませばご馳走するぞ
赤い金魚はあぶくを1つ
昼寝うとうと夢から覚めた

ポニョは
海底にいたころは
父親が与える食べ物を食べていましたが
宗介に出会って
ハムやインスタントラーメンの味を覚えました。
PTSD研究家翠雨の日記
夢からさめる(幻想が消える)と
食べ物が変わる(生き方が変わる)のですね。
PTSDを克服すると
生き方がガラッと
変わります。