大阪の
新世界のガード下で歌っていた男性のお話です。
喉の調子が良く
歌の合間には
出会ったお客さんとの思い出話に
話を咲かせたりしていました。
しかし
「ここで演奏するのは、最高やで。
初めて会う人が聞いてくれるんや。
でも
たまに座って演奏していると怖いこともあるで
そ、そ、そ…」
言葉が続かなくなります。
口は動くのですが
喉から声が出ないのです。
自分でも何が自分の身に起きているのか
理解できません。
声が出ない恐怖から
立ち上がったり
必死で体を動かしたりしても
口をパクパクすることくらいしかできないのです。
落ち着こうと考え
ペットボトルのお茶を飲もうとすると
唇からボタボタお茶がこぼれ落ちます。
必死の思いで
身振り手振りで救急車を呼んでもらい
緊急入院となりました。
軽い脳梗塞と診断され
数日で退院できましたが
また発作が起きるのではないかと思うと
歌うのは怖いとのことです。
お客さんと共感状態になったとき
ラポールの形成が起こり
安全弁が外れて
トラウマエピソードが飛び出したのでしょう。
過去の記憶が
症状をつくることもあります。
そして
回避により
歌えなくなるわけです。
なので
暴露法等
直接トラウマを扱うような心理療法は
あまり行われなくなりました。