『人生、ここにあり!(2008)』PTSD問題のファシリテーター

断薬を考える当事者の間でよく知られていた

クスリで進行を抑えるしかない精神病があるのではなく

クスリのせいで特有の状態に陥っていると知ったのは驚きでした。

セレネース(安定剤)での沈静による懲罰や

よい治療法はアメリカにはあるとの信仰も最後には消えます。

コメディ映画ですが

歴史は繰り返すもののようですから

1983ミラノの実話をもとにしたもの

ここでおさらいしておくのもよいでしょう。

「日本人でも」「日本だったら」

「(このファッションは)日本で展開する」

「ガラパゴス」とやたら日本という言葉が出てくるのは

日本語の翻訳だから⁈

イタリアでも

まだまだ人権意識が低く

PTSDは人権問題

労働者の境遇は劣悪で

半分以上解雇もフツーの横暴

労働組合の黎明期のようで

固着のパワーがある。

臨床心理学はこのパワーが無くなった抜け殻期

お話は組合と会社の団体交渉のシーンから始まります。

主人公は

労働組合のなかでも急進的な逸材で

組合の問題児

そのくらいでないと革命は起こせないという話

組合を追い出され

精神病院の組合のマネージャーに左遷されます。

精神病院に組合なんて馬鹿げていると

あきらめるのがフツーですが

「脱施設化で家族が発狂する」

「ここは労働の場ではなく施しの場」

日本では「牧畜」のようと批判されたが

登場人物の妄想表現はUFOから悪くない給料をもらっている入院生活で

『約束のネバーランド』とも重なるイメージ

「法では治せない問題」と医者

先入観なしに患者に出会い

先天的に【現象学的方法】が身についた主人公

医者がPTSDとどこか気づいているのを知り

「こころの地獄を抱えた者は治らない」

患者から傾聴した話から裏づけて確信し

いつ死んでもおかしくない危険な道路で7年間も働いていた男性

機能不全家族で妊娠し施設と精神病院に母子分離されたまま時が止まっている女性

DVから母を護るために兄を殺害し11年間セレネースで性格を捻じ曲げられた男性

ストレスに弱いのに入院後も「自殺」「人の不幸」に遭遇しやすい環境

「(僕らは)イカているかもしれないけどバカじゃない」

ビジョンをもたせ

「精神病はでっちあげ」

「事なかれ主義で薬漬けにしているだけ」だから

とりあえず「半分に減らせる」と教え

医者が「勘違い」という「やる気」をもたせる。

ストレス脆弱性に対応しながら

対人恐怖や不信感・不安感のため会議どころではない。

(フツーの心理療法が成立しない第一原因)

掲げたビジョンが机上論や絵空事ではないことを確認しながら少しずつ信頼し

承認や応答(経験がないので魔法のようにこころに効く)を経験

医者は「緊張や責任に耐えられない」と言ったが

集団貧乏ゆすりをしながら(バランスをとる)

当事者である自覚が育ってゆく。

コミュニケーション能力を磨かせ

最初は極度の自閉でも

何を言っていいのかわからないが関わりたいので

便乗して同じことを言っている人の真似をしながら

話し合いの楽しさや

勝ち負けの感情

失敗から学ぶことの大切さを学び

少しの成功報酬が動機づけとなってゆく。

途中経過は無意味に見えるが

最後に大きな意味を持って立ち上がってくる。

思い込みに過ぎない認識を改めさせ

医者の怒りを恐れる患者に

自分の怒り発作と同じですぐおさまることから

具体的に納得できるように教え

自分で判断する主体性をもたせる。

最後は理事長が医者から自閉症患者(元PTSD)になった。

みんなで自己実現してゆきます。

切手の貼り方を見て

正しく貼れる訓練をさせるのではなく

常識を教えるのでもなく

その貼り方を活かせる仕事を創造させた

借りぐらしのアリエッティ』精神科医アリエティ | 翠雨PTSD予防&治療 ...

廃材をつかって

マンダラになっていた!

主人公は

ファシリテーターの鑑と言えるかもしれませんね。

教条的に

「言いっぱなし・聞きっぱなし」等と

マニュアルを守らせるのではなく

このような結果に導く言動をする。

やっぱりだめだ…と寝込む仲間に

「わかる」

「おまえらも寝こめ」と言い

みんながベッドサイドに寄り添うシーンは秀逸だと感じました。

同じことをすればよいということではなく

例え話です。

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