新井満さんです
メディアが
【PTSD】という言葉を
あまり使わないようになって
随分になります。
この言葉が使われ出した頃は
なんでもかんでも
あれもこれも
【PTSD】の安直さと
(ここは正しいと思いますが)
【PTSD】になったら
①にこうなり
②にこうなり
③にこうなります
だから
④こうしなさい
⑤これはだめです
と十把一絡げに教育する
そんなスタイルに
反感を覚え
事件が起こるたびに
「こころのケア」が必要ですとか
「臨床心理士を派遣しました」と
金太郎飴のように
判で押したように
書かれている新聞記事に
嘔吐感を催しそうになったものでした。
しかし
【PTSD】否認の影で
旧態依然として
はびこっているのが
【うつ病誤診】で
その結果の
【車輪の下】であるならば
もはや
好き嫌いや自分の感情で
すまされる問題ではないと
反省しました。
2月14日
朝日新聞で新井満さんが
PTSD体験とその克服過程について
書いておられます。
新潟地震がトラウマとなったそうです。
まるで【天地創造】のような
光景でしたが
奇跡的に傷ひとつ負わなかったそうです。
トラウマは
一個人を
神話の世界に引きずり込みます。
そしてこうつづられています。
「でもそれは体のことであって
精神的には深い傷を負ったのです。
当時、こころの傷という発想はまだなかったのですが、
明らかにPTSD(心的外傷後ストレス障害)です。
夜になると恐ろしい夢を見るし、
ちょっと揺れただけで
頭のてっぺんから冷水が
さーっと走る」
そのトラウマがどんどん内部に内部に入っていって
1年後には激しい腹痛で緊急入院となり
その後の体調不良で体重は半分になったそうです。
苦しみのあまり
地震で死んでたらよかったのにとか
思いはじめ、
ふらふらと屋上に上がって
…
将来のことなど考える余裕はなく
喜びもなく
生きる屍として
ただ日を送っていただけだった
そう回想しておられます。
しかし
「生きていてよかった!」と思えるものと
出会います。
この世にあり
日常にあるものですが
瀕死の人にしか見つけられないものかもしれませんし
教えてもらっても同じく瀕死の人にしか
はっきりとは見えないものかもしれません。
しかしその感動がエネルギーとなり
『先の風になって』の大ヒットとして
【昇華】したのです。
死者の目線で
この世を見た詩ですね。
新井満さんとPTSD
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